急性腰痛(ぎっくり腰)に安静は?
エビデンス
その1
急性または再発性腰下肢痛に対する治療としての安静臥床(2~7日間)は、疼痛緩和・回復速度・ADL(日常生活動作)改善・欠勤日数という点で、プラシーボや通常の活動より効果がない(★★★)。http://amzn.to/Hk8veA
腰痛には安静第一と考えているのは世界広しといえども日本だけかもしれません。せめてこの誤った常識だけでも頭の中から消去してください。急性腰痛を慢性化させてしまいます。
その2
長期間にわたる安静臥床は、身体衰弱・長期活動障害・リハビリテーション困難につながる可能性がある(★★)。http://amzn.to/Hk8veA
「腰痛が和らぐまでは安静第一」という迷信を信じていつまでも寝ていると、回復するチャンスをみすみす逃してしまうことになります。
その3
必要に応じて鎮痛剤を投与し、安静臥床を守らせて「痛みの程度に応じて」通常の活動に戻るかどうかを決めさせる「従来型」の治療と比較して、通常の活動を維持するよう指導した場合は、急性発作時の症状がより早く回復する(★★★)。http://amzn.to/Hk8veA
腰痛概念の劇的な転換に伴い、その対処法も大きく変わりました。いつまでも時代遅れの治療をしていると回復が遅れるばかりでなく、悪くすると訴えられる可能性もあります。医療関係者の方は情報のアップデートを急いでください。
その4
短期間(数日~数週間)のうちに認知行動療法に基づいて段階的再活動化を実施した場合と、段階的再活動化を単独で実施した場合を比べると、疼痛と活動障害の回復速度に差はないが、慢性的な活動障害の発生率と失業率が低下する(★★★)。http://amzn.to/Hk8veA
説明の仕方が悪いですね。認知行動療法に基づく段階的再活動化のほうがより有効だということです。
新しい腰痛概念とは
このような実証研究によって得られた事実を元にして、再構成されました。それまでの患者さんや医療者の経験に頼る対処方法では、効果に再現性がなく却って快復を遅らせたり、慢性化させてしまうことが明らかになりました。
まとめ
安静は回復を促すことはなく、遅らせ、慢性化・再発を招きます。