労働条件(ブラックフラッグ)と痛み
エビデンス
その1
1958年の英国出生前向きコホート研究のデータから社会経済的状況と成人期の筋骨格系疾患の関連を調査した結果、社会経済的地位が低いと腰痛・肩痛・腕痛・膝痛だけでなく全身の筋骨格系疼痛の発症率が高くなる傾向にあることが判明。http://bit.ly/t6KS0C
格差社会が筋骨格系疾患に大きな影響を与えているということです。ブラックフラッグは医学的介入の適応にならない政策上の問題。がんばろう日本!
その2
人員削減対策で事業規模を縮小した企業で働く労働者は、仕事量の増加・ストレスの増大・健康状態の悪化・腰痛や筋骨格系疾患の増加・早期死亡リスクの増加といった問題に直面する。http://1.usa.gov/sKSMLp http://1.usa.gov/ujAuSk
リストラの対象になった人々は、筋骨格系疾患の増加と早期死亡リスクが上昇することは明らかになっていました。しかし、リストラを逃れた労働者も同じような傾向が確認されたわけです。このような問題に対して医学はどんな介入ができるのでしょう。これから真剣に考えていかなければならない課題だと思います。
ブラックフラッグとは
症状に影響をあたえる「国の政策」や「会社との契約」による労働条件をいいます。
医学的に身体や脳に介入するだけでは足りないことがあるということです。
新たな腰痛概念とは
実証研究によって得られた事実を元にして、再構成されました。これまでは「生物学的損傷」という画像の異常所見や肉体への負担が原因というものでした。それを「生物・心理・社会的疼痛症候群」という心理的要因や社会的要因も原因であるというものです。
これまでの「生物学的損傷」だけが原因であるという古い考え方や治療法が却って治りを遅らせていることも判明しました。古い考えを、新しい考えに改めるとブレークスルーが起こり、腰痛が改善します。