自然治癒力・プラシーボを超えられない治療は慎重に
エビデンス
その1
耐え難い腰痛を訴える椎間板に起因する腰痛患者は、手術を受けなくても3年後には68%が改善し、労災補償患者でさえ80%が改善していた。改善率が68%を超えられないのであれば、ある治療法を椎間板変性腰痛に実施すべきでない。http://1.usa.gov/LPB9IN
こういうデータがあるから医学は腰痛治療から撤退すべきだという議論が勃発するんですよね。腰痛のないタンザニアのハザ族には、腰痛を治療する人がいないことを考えてみましょう。腰痛の自然治癒率の86%、プラシーボの平均有効率の70%を超えられない治療法は、積極的に行なうべきではありません。
解釈
・プラシーボ効果とは、
薬の効果がないニセ薬でもおこる治癒効果。(薬と思えば効く)
以前は、否定的に捉えられてきましたが、現在はプラシーボ効果も上手く利用しようという考えに変わりつつあるようです。
侵襲性が高いほど有効性があるとされています。
・保存療法(手術以外の治療 例:薬、注射、リハビリ、手技療法、鍼など)ではプラシーボの有効率は40~50%と言われています。
・手術ではプラシーボの有効率は70%と言われています。
・プラシーボの有効率を超えないと効果があるといえません。有効率を下回っていれば、却って治癒を妨げているといえます。
・椎間板の手術は短期成績は良いが、長期成績は自然治癒力を上回らないという報告があります。
手術が最高の結果をだしてくれる治療と思われている方が多いですが、決してそんなことはありません。
「医学は腰痛治療から撤退すべきだという議論」
医学的介入(治療)しても、自然治癒力と比較して効果が上回らなかったり、悪化させてしまうものが多いので勃発しています。
ただ、医学が撤退するとインチキ療法が更に広まる懸念があるために、踏みとどまっているようです。
新しい腰痛の概念に基ずく治療が有効です。
このような実証研究によって得られた事実を元にして、再構成されました。それまでの患者さんや医療者の経験に頼る対処方法では、効果に再現性がなく却って快復を遅らせたり、慢性化させてしまうことが明らかになりました。