脊柱管狭窄症の画像所見は臨床症状と関連性がない
エビデンス
その1
高性能の画像診断の普及によって1990年代から脊柱管狭窄症が増加したが、100名の脊柱管狭窄症患者(平均年齢59歳)の臨床症状と画像所見(単純X線撮影・脊髄造影・CT)を比較した結果、両者間に関連性は見出せなかった。http://1.usa.gov/RxEUW4
脊柱管狭窄症の画像所見は臨床症状と関連性のないことが明らかとなったわけですが、興味深いのは、両側性の症状を訴えたのは42%に過ぎないのに、画像所見では患者の89%が両側性の狭窄変化が認められた点です。画像検査が増えるに従って今後も新たな病名と患者が増えていくことでしょう。となれば必然的に手術件数も増えることになります。
解釈
画像所見
脊柱管狭窄症に限らず、骨や椎間板の変形と症状は関係ありません。
脊柱管狭窄症は形の分類に過ぎません。
形を整える手段である手術の成績が良くないのも納得です。「見た目を良くする≠痛みを改善する」です。
物の見方
「変形は悪」であるという答えありきの偏った物の見方により、脊柱管狭窄症が見つかると安易に痛みの原因と解釈してしまいます。
世界最速の人間はウサイン・ボルト。
以前、そのウサイン・ボルトの側湾症をテーマにしたテレビ番組がありました。
終始、側湾症(変形は悪)という視点です。
側湾症の為、腰痛もち。
側湾症の為、スタート時のフォームが崩れスピードに乗るまでに時間がかかる。
側湾症がなければもっと速く走れるのに・・・残念という内容。
科学的に側湾症は腰痛との関連性はありませんし、世界最速の人間が側湾症なので、早く走るには側湾症のほうが有利(変形が良)と考えてもよいはずなのに・・・
誤った物の見方や思い込みは、痛みを慢性化させるリスクがあるので気を付けましょう。
新しい腰痛の概念に基ずく治療が有効です。
このような実証研究によって得られた事実を元にして、再構成されました。それまでの患者さんや医療者の経験に頼る対処方法では、効果に再現性がなく却って快復を遅らせたり、慢性化させてしまうことが明らかになりました。