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五十肩患者さん向け診療ガイドライン

公開日:2025/08/08
更新日:2025/10/14

五十肩が辛い

 五十肩は、肩関節に痛みと可動域制限を引き起こす一般的な疾患です。このガイドラインでは、診断から治療まで、科学的根拠に基づいた最新の医療情報をご提供いたします。


五十肩とは?

 肩関節周囲炎、通称「五十肩」は、肩の痛みと可動域の制限を特徴とする疾患です。特に外旋動作(腕を外側に回す動き)が困難になります。

 多くの患者さんは12-18ヶ月で改善しますが、適切な治療により症状緩和を早めることができます。

診断のポイント

主な臨床的特徴

  • 進行性の肩の痛み
  • 能動・受動運動の制限
  • 特に外旋の制限が顕著
  • X線検査で他疾患を除外

五十肩の3つの病期

 五十肩は時期によって症状が変化し、それぞれの時期に適した治療法があります。病期を理解することで、より効果的な治療が可能になります。

凍結期

 疼痛が優位で、徐々に可動域が制限されていく時期です。夜間痛が特に強く現れることが特徴です。

拘縮期

 痛みは軽減するものの、可動域制限が最も強くなる時期です。日常生活動作に大きな支障が出ます。

回復期

 徐々に可動域が改善し、痛みも減少していく時期です。リハビリを継続することが重要です。


標準的な治療法

 国際的に推奨される第一選択治療は、患者教育・理学療法・関節内ステロイド注射の3つを組み合わせたアプローチです。

  • 早期の保存的管理(患者教育、鎮痛、理学療法、自宅運動)が治療の基盤
  • 症状1年未満の患者には関節内ステロイド注射が疼痛と機能に対して最も明確な短期効果を示す 。
  • 手術的選択肢(麻酔下授動術または関節鏡下被膜切開)は、長期間の保存的治療で症状が持続する場合にのみ推奨

患者教育

 病気の経過と自宅でできる運動について学びます。現実的な期待を持つことが治療成功の鍵です。

理学療法(リハビリ)

 専門家の指導のもと、痛みに応じた段階的な可動域訓練を行います。自宅運動との併用が効果的です。

ステロイド注射

 症状1年未満の早期に行うと、短期的な疼痛軽減と機能改善に最も強いエビデンスがあります。


病期別の治療アプローチ

凍結期の治療

疼痛管理が中心

  • 関節内ステロイド注射による早期疼痛軽減
  • 緩やかな可動域訓練
  • 疼痛緩和技術の習得

炎症が優位な時期は無理な運動を避け、活動性の維持を目指します。

拘縮期の治療

可動域改善が中心

  • ストレッチ
  • 理学療法(リハビリテーション)
  • 自宅運動の継続
  • ハイドロディレーション

可動域制限に対する積極的なアプローチが重要な時期です。

回復期の治療

機能回復が中心

  • 理学療法(リハビリテーション)
  • 日常生活動作の改善

回復を促進し、再発を予防するための継続的なケアを行います。

 保存的治療は数週間から数ヶ月かけて効果を評価します。定期的な経過観察により、治療計画を個々の患者さまの反応に合わせて調整していきます。


治療法のエビデンスレベル

 科学的根拠に基づいた治療選択が重要です。各治療法の効果と適応を理解しましょう。

関節内ステロイド注射

最良の短期エビデンス

 症状1年未満で疼痛と機能に統計的・臨床的に有意な改善。超音波ガイド下で実施し、運動療法と併用します。 中長期的な疼痛改善に最も効果的。注射療法や手術前の第二選択として推奨されます。

理学療法・自宅運動

中程度のエビデンス

全病期で推奨され、機能改善に寄与します。監督下セッションと自宅プログラムの併用でアドヒアランスを監視します。

ハイドロディレーション

限定的エビデンス

拘縮優位または保存的治療失敗例で可動域改善の追加効果が期待されますが、研究間で結果に異質性があります。

肩甲上神経ブロック

併用療法として有益

 理学療法またはステロイド注射との併用で、疼痛軽減と可動域改善に効果があります。 


日本特有の治療アプローチ

 日常生活での管理が治療の鍵:患者教育、負荷管理、自宅での運動は、治療の中核となる重要な要素です。医療機関での治療と並行して、日々の生活の中で実践していただくことが、症状改善への近道となります。

サイレントマニピュレーション

超音波ガイド下で頸神経根ブロックを行い、鎮痛下で肩関節を操作する日本発祥の手技です。

短期成績: 可動域・疼痛・臨床スコアの改善が報告されています。

注意点: 術後MRIで関節唇損傷(13.3%)や骨挫傷(50%)の報告があり、慎重な適応判断と長期フォローが必要です。

画像ガイド下治療

  • 超音波ガイド下での関節内注射
  • ハイドロディレーションの画像下実施
  • 注入後即時の理学療法(外来での注射+当日リハ)

日本の臨床現場では画像技術を活用した精密な治療が標準的です。

ハイドロディレーションは生理食塩水と少量の麻酔薬・鎮痛薬を用いて、注射で膜を剥がす治療


手術的治療の適応

 保存的治療で改善しない場合、手術的介入を検討します。一般的に6-9ヶ月の適切な保存的治療後が判断の目安です。

0-3ヶ月

 保存的治療の開始: 患者教育、理学療法、関節内ステロイド注射の併用

3-6ヶ月

 治療効果の評価: 症状の改善度を確認し、必要に応じて治療法を調整

6-9ヶ月

 手術適応の判断: 保存的治療で改善が乏しい場合、手術を検討する時期

手術実施

 麻酔下授動術(MUA)または関節鏡下被膜切開を実施、術後は即時リハビリテーション

 重要: 手術には骨折や回転筋腱板損傷のリスクがあります。特に二次性拘縮では麻酔下授動術は避けられます。患者因子と術者の経験を考慮した慎重な判断が必要です。


予後と回復の見通し

典型的な経過

 多くの患者さんは数ヶ月で症状が改善し始めます。古典的には1-3年の自然経過が記述されていますが、適切な治療により12-18ヶ月までに最も改善します。

良好な予後因子

  • 症状期間が短い
  • 早期の関節内ステロイド投与
  • 自宅運動の継続
  • 適切な理学療法

一部の患者さんでは症状が遷延したり、軽度の拘縮が残存することがあります。

予後

完全回復:70% 12-18ヶ月以内に症状が完全に改善する患者の割合

軽度残存:20% 軽度の症状や可動域制限が残る患者の割合

長期症状:10% 長期的な症状管理が必要となる患者の割合


患者さんへの重要なメッセージ

 保存的治療で改善しない場合、手術的介入を検討します。一般的に6-9ヶ月の適切な保存的治療後が判断の目安です。

早期治療の重要性

 症状が出たら早めに医療機関を受診しましょう。症状1年未満での治療開始が、より良い結果につながります。

自宅運動の継続

 医療機関での治療と並行して、自宅での運動を毎日続けることが回復への近道です。痛みに応じて無理なく行いましょう。 治療効果の評価: 症状の改善度を確認し、必要に応じて治療法を調整

現実的な期待

 回復には時間がかかります。焦らず、段階的な改善を目指しましょう。医師との定期的なコミュニケーションが大切です。

 重要: 「五十肩は適切な治療とご自身の努力により、必ず改善する疾患です。医療チームと協力しながら、一歩ずつ回復を目指しましょう。」


まとめ

要約

 五十肩の治療は国際的に保存的治療が第一選択とされ、患者教育、理学療法、関節内ステロイド注射の早期併用が推奨される。日本では「サイレントマニピュレーション」などの独自手技も報告されているが、基本的な治療指針は国際標準と一致している。手術は6-9ヶ月の保存的治療で改善しない場合に検討される。

主要ポイント

• 第一選択治療: 患者教育 + 理学療法 + 関節内ステロイド注射
• 段階的アプローチ: 症状の時期(凍結期、拘縮期、回復期)に応じた治療選択
• エビデンスレベル: 関節内ステロイド注射が最も強いエビデンスを持つ
• 手術適応: 6-9ヶ月の保存的治療無効例
• 日本特有の手技: サイレントマニピュレーションが報告されているが長期安全性は不明
• 予後: 多くの患者は12-18ヶ月で改善するが、一部で長期症状が残存

参考文献

[1] Gacaferi, H., Geurkink, T., van Adrichem, R. A., et al. (2022). Frozen shoulder: A long-lasting and misunderstood clinical problem. Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde, 2022-04-12.

 

[2] Miyatake, K., Fujisawa, T., Otoshi, A., et al. (2021). Silent Manipulation for Adhesive Capsulitis. Current Physical Medicine and Rehabilitation Reports, DOI: 10.1007/S40141-021-00332-5.

 

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[4] Iqbal, J., Lal, S., Lal, H., et al. (2023). Empowering the Path from Stiffness to Recovery in Adhesive Shoulder Capsulitis Complexity. DOI: 10.5281/zenodo.8333338.

 

[5] Hill, J. L. (2024). Evidence for Combining Conservative Treatments for Adhesive Capsulitis. The Ochsner Journal, DOI: 10.31486/toj.23.0128.

 

[6] Kuhn, I., Erber, B., Goller, S. S. (2023). Adhesive capsulitis. DOI: 10.1007/s00117-023-01217-5.

 

[7] Latzka, E. W., Cali, M., Ishii, H., et al. (2023). Hydrodilatation versus Corticosteroid injection in Treatment for Adhesive Capsulitis. DOI: 10.1002/pmrj.13094.

 

[8] Sullivan, E. E., Bhandari-Young, S., Kamat, A., et al. (2025). Thawing the Ice: The Clinical Diagnosis and Effective Management of Adhesive Capsulitis. DOI: 10.1097/nor.0000000000001149.

 

[9] Frozen shoulder: overview of clinical presentation and review of the current evidence base for management strategies. DOI: 10.2144/FSOA-2020-0145.

 

本報告書は2025年10月時点の最新エビデンスに基づいて作成されました。治療方針の決定には必ず最新のガイドラインと個々の患者状況を考慮してください。

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