腰痛・坐骨神経痛と姿勢の関係

　・不良姿勢と腰痛の間に関連性は認められています。

　医学では関連性があることをリスクと言います。リスクではありますが、原因ではないのでその影響は大きくはないです。

　不良姿勢でも腰痛・坐骨神経痛が無い健康な人もいますし、よい姿勢でも腰痛・坐骨神経痛を抱えている人もいます。

　不良姿勢がよい姿勢に改善されても、腰痛・坐骨神経痛が改善しない人もいますし、姿勢は改善されていないのに腰痛・坐骨神経痛が改善する人もいます。

　姿勢と腰痛・坐骨神経痛の間に因果関係が認められているわけではありません。

　姿勢だけが唯一の腰痛・坐骨神経痛の原因ではなく、いくつかの要因が重なりあって痛みがあると考えられます。

　●それは「過剰に姿勢を意識すること」です。

※不良姿勢によるリスクよりも、患者さんが「姿勢に捉われ」てしまうことの方が却って、快復の妨げになると考えられています。

・よい姿勢が維持できない自分に対してマイナスの感情を抱えてしまう。
・よい姿勢を意識するあまり、却って緊張を生み出してしまう。
・常によい姿勢を意識する≒常に痛みを意識することにつながり、却って痛みに過敏になってしまう
・腰を守るという意識が強くなり、運動量や運動強度が下がりやすい。治療の根幹である運動を避けてしまう。

　姿勢はその人の身体の状態に合わせて、脳が省エネで過ごせるように作りだしたもの（結果）と捉えます。

 　姿勢の良くない人が、「いわゆる良い姿勢」をとると却って疲れてしまったり、無駄な力が入って緊張したり、長続きしないのはそのためです。（その人にとっては非効率な姿勢になっている）

　スポーツ選手は良い姿勢ですが、意識して良い姿勢をしているのではなく、スポーツ選手にとって楽（省エネ）だから、その姿勢になっていると考えます。

　スポーツ選手はそれだけ筋力や柔軟性、神経が発達していると言えます。姿勢の悪い人も、要因の筋力や柔軟性、神経の働きを高めれば、意識しなくとも自然と「いわゆる良い姿勢」近づいていきます。

　不良姿勢はリスクではあるので、ほおっておくのは良くはない。かと言って、姿勢を気にするのも良くない。

　この矛盾を解決するには・・・

 　●普段の日常生活のなかでは、姿勢を気にせずに過ごし、運動を行う時は良い姿勢を意識して行うというものです。


　そうすることで、「過剰に姿勢を意識すること」を防ぎつつ
　運動時に意識することで、良い姿勢にあった柔軟性や筋力・神経系が発達し、普段の姿勢も意識せずに勝手に良い姿勢に変化していきます。