〒213-0002 神奈川県川崎市高津区二子1丁目7−17

リバーサイドマンション杉崎 102 二子新地駅 徒歩3分

  日祝
9:00〜13:00
15:00〜19:00
お気軽にお問合せ・ご相談ください
044-299-9707

首痛患者さん向け診療ガイドライン

公開日:2025/08/08
更新日:2025/10/16

首が痛い・・・

 首の痛みは多くの人が経験する一般的な症状です。このガイドでは、最新の医学的エビデンスに基づいて、首の痛みの原因、診断、治療選択肢について、患者さんにとって理解しやすい形で説明します。


首の痛みとは?

主な原因と分類

1、非特異的首痛(最も一般的)
  • 筋肉の緊張や疲労
  • 姿勢不良による負担
  • ストレスや睡眠不足
  • 加齢による頸椎の変化
2、神経根症
  • 首から腕にかけてのしびれや痛み
  • 筋力低下を伴うことがある
  • 椎間板ヘルニアや骨棘が原因
3、外傷性首痛
  • むちうち症(交通事故など)
  • スポーツ外傷
  • 転倒による損傷
4、重篤な疾患(まれ)
  • 感染症
  • 腫瘍
  • 脊髄の圧迫

いつ医療機関を受診すべきか

 世界各国の高品質ガイドラインは、非特異的頸部疼痛に対して保守的で患者中心の治療経路に収束しています。スクリーニングとトリアージから始まり、安心感の付与と教育、活動と運動の促進を中心に据え、補助的手段として手技療法を活用します。

 薬物療法、注射療法、手術療法は特定の適応症や難治性神経根症に限定して留保されます。エビデンスの強度は様々ですが、運動療法が最も一貫した支持を得ています。 

緊急受診が必要な症状(赤旗症状)

 以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください:

  • 外傷後の首の痛み(交通事故、転倒など)
  • 両腕のしびれや筋力低下
  • 歩行困難や手の細かい動作ができない
  • 排尿・排便の障害
  • 発熱を伴う首の痛み
  • 原因不明の体重減少
  • 激しい頭痛を伴う首の痛み

早めの受診を検討すべき症状

  • 1週間以上続く強い痛み
  • 腕への放散痛やしびれ
  • 日常生活に大きな支障がある
  • 市販薬で改善しない痛み
  • 睡眠が妨げられる痛み

診断プロセス(医師が行う評価)

1、問診

  • 痛みの性質、場所、持続時間
  • 発症のきっかけ
  • 日常生活への影響
  • 既往歴や服用薬

2. 身体診察

  • 首の可動域チェック
  • 神経学的検査(反射、筋力、感覚)
  • 特殊テスト(スパーリングテストなど)
  • 姿勢の評価

3. 画像検査(必要に応じて)

  • X線検査:骨の異常をチェック
  • MRI:軟部組織や神経の詳細評価
  • CT:骨の詳細な構造を確認
     

患者さんへのアドバイス

画像検査は必ずしも必要ではありません。多くの首痛は画像所見がなくても改善します。医師が画像検査の必要性を判断します。


治療の基本原則

 世界各国の高品質ガイドラインは、非特異的頸部疼痛に対して保守的で患者中心の治療経路に収束しています。スクリーニングとトリアージから始まり、安心感の付与と教育、活動と運動の促進を中心に据え、補助的手段として手技療法を活用します。

 薬物療法、注射療法、手術療法は特定の適応症や難治性神経根症に限定して留保されます。エビデンスの強度は様々ですが、運動療法が最も一貫した支持を得ています。 

スクリーニング・トリアージ

 危険徴候の検出と重症度分類

安心感と教育

 活動維持とセルフケア戦略

運動療法の実施

 個別化された段階的プログラム

補助的治療

 必要に応じた手技療法の活用 個別化された段階的プログラム


中核となる非薬物療法

教育と安心感の提供

 急性・慢性頸部疼痛の基本的治療として、活動維持とセルフケア戦略を助言します。予後、警告徴候、機能回復の段階的再開について体系化された形式で提供することで、転帰が改善されます。

運動療法

 慢性および亜急性頸部痛の主要治療として各ガイドラインで推奨されています。病期や症状に応じて、運動制御訓練と分節的または全身的有酸素運動、筋力トレーニングプログラムの組み合わせが支持されます。

手技療法

 多くの臨床実践ガイドラインでは、単剤療法ではなく運動療法の補助として可動化やマニピュレーションが推奨されます。短期的な疼痛緩和に有効ですが、長期戦略としては推奨されません。


薬物療法と低侵襲性治療

 初期治療は保存的かつ多角的アプローチが基本となります。教育、活動制限、必要に応じた鎮痛、漸進的運動療法および管理下での理学療法を優先します。大半のガイドラインとメタ分析は、注射や侵襲的治療前に運動療法と理学療法に基づくアプローチを推奨しています。

薬物療法のアプローチ

NSAIDsおよびアセトアミノフェン

 リスクと禁忌を考慮した上で、急性頸部痛の短期的な対症療法として許容されます。適切な場合の急性期症状緩和に支持されています。

オピオイドおよびベンゾジアゼピン系

 日常的に推奨されません。慎重な検討と限定的な期間での使用のみ、特定の症例に限り検討されます。ガイドラインは注意を促しています。

低侵襲性治療・外科的治療

 保存的治療が失敗した場合、または神経学的障害が存在する場合、標的注射または手術を検討します。タイミングと手法は神経根障害に特化したガイダンスに基づきます。

 注射療法と手術は特定の神経根症状や構造的病変に対して短期的な有益性を提供する場合がありますが、適応はより狭く、長期的な優位性に関するエビデンスは混在しています。

 適応症:神経根障害または進行性神経学的欠損が存在する場合に検討されます。


病期別の治療戦略

急性期

 教育、活動、短期鎮痛、症状緩和姿勢を優先します。即時的緩和のため手技的ケアを検討可能です。患者への安心感の提供と活動維持の助言が中核となります。

亜急性期

 指導下での個別化運動療法と運動制御訓練を段階的に強化します。根症状が主たる場合は神経動態学的アプローチを追加します。運動療法と可動化・マニピュレーションの併用が推奨されます。

慢性期

 長期運動療法、段階的有酸素運動・筋力トレーニングを重視します。心理社会的要因が認められる場合は認知行動療法または多職種連携戦略を導入します。複合的アプローチが有効です。


診断基準とトリアージ

 ガイドラインでは、ルーチン画像検査前に病歴と重点的身体検査を用い、危険徴候の検出と頸部痛の重症度分類による意思決定のための体系的なトリアージを推奨しています。

トリアージ枠組み

 重症度I~IVの4段階分類を割り当て、直接管理と紹介の必要性を判断します。外傷現場ではNEXUS基準またはカナダ頸椎ルールを適用します。

臨床検査と徴候

 スパーリングテスト、牽引法、上肢緊張テストは神経根障害の同定に有用です。危険徴候を積極的にスクリーニングします。

画像診断の活用

 非特異的頸部痛に対するルーチン画像診断は推奨されず、レッドフラッグ、進行性神経症状、または保存的治療の失敗時にのみ実施します。

 ※重要:心理社会的要因の評価(恐怖、過大解釈、仕事上の問題)は、予後と治療計画に影響するため、ベースライン評価の一部として実施すべきです。


リハビリテーションプロトコル

 運動ベースのリハビリテーションは最も支持されている保存的アプローチです。プロトコルは個別化・段階化され、必要に応じて手技療法や教育と組み合わせるべきです。

エビデンス基盤と有効性

 運動療法と可動化・マニピュレーションの併用は、亜急性・慢性機械的頸部障害において対照群より有益であり、複数のレビューやガイドラインで繰り返し推奨されています。

 治療的運動は、過去のガイドライン統合において一貫して臨床的に重要な有益性を示した唯一の介入法です。運動制御と分節的運動、特に深頸屈筋の再訓練と表層筋の強化は、慢性非特異的頸部痛に対する有効な要素となっています。


患者教育と多職種連携ケア

 高品質ガイドラインは、構造化された教育、自己管理、職場環境・人間工学的対策、および複雑性や心理社会的障壁が存在する場合の統合的マルチディシプリナリーケアを強調しています。

患者教育戦略

 予後、警告徴候、活動的重要性、ペース配分、機能回復の段階的再開を主要内容として、体系化された形式で提供します。運動療法と組み合わせることで転帰が改善されます。

 臨床的関わりの強化(期待設定、安心感の提供)は転帰を改善する可能性があり、コンテクスト的要因強化ケアの試験で検証中です。

多職種連携と段階的ケア

 持続性疼痛に伴う機能障害、または心理社会的・職業的・複雑な医学的問題が回復を制限する場合、多職種リハビリテーションへ紹介します。

 持続性または複雑症例に対し、複合的アプローチ(運動療法、手技療法、心理的介入)がガイドラインで支持されています。

予防と生活習慣修正

 再発リスク低減のため、定期的な身体活動、姿勢教育、職場人間工学的評価を促進します。亜急性・慢性経過例には職業評価と職場復帰支援が推奨されます。

 予防に関する具体的エビデンスは限定的ですが、専門家コンセンサスで広く推奨されています。


エビデンスの質と推奨レベル

 推奨事項の質と一貫性は様々です。運動療法は最も強力かつ一貫した支持を得ている一方、多くの治療法は低~中程度のエビデンスまたはコンセンサスに基づいています。

エビデンスが強い領域

運動療法および徒手療法併用

 レビュー及びガイドライン策定委員会全体で一貫した有益性と最高レベルの推奨が示されています。

短期鎮痛薬

 NSAIDsとアセトアミノフェンは適切な場合の急性期症状緩和に支持されます。

エビデンスが限定的な領域

物理療法

 超音波、多くの電気療法、ルーチンな牽引などはエビデンスが限定的で、一般的にルーチン使用を推奨しません。

注射療法と手術

 特定の適応に短期的有益性がある場合がありますが、長期的優位性のエビデンスは混在しています。

 ガイドラインの課題:頸部痛ガイドラインの系統的比較では、異質性と方法論的質のばらつきが報告されており、推奨内容の差異と状況に応じた適応の必要性を説明しています。多くの推奨事項は低~中程度の質の研究または専門家パネルの合意に基づいています。


今後の研究課題と展望

 複数の高品質な臨床実践ガイドラインと統合研究は、患者中心の保存的治療で一致していますが、具体的な治療法の推奨やガイドライン間の評価基準には異質性が存在します。優先的な研究課題が明確化されています。

最適な運動量設定

 努力強度、頻度、反復回数、期間など、運動療法の最適な投与量パラメータを確立するための追加研究が必要です。個別化された処方基準の標準化が求められます。

長期比較有効性

 異なる治療アプローチの長期的な有効性と安全性を比較する質の高いランダム化比較試験が不足しています。特に慢性期における転帰の追跡が重要です。

特定集団への介入

 高齢者、特定の病態を持つ患者、職業性頸部痛など、特定集団に対する最適な介入法に関するエビデンスの構築が優先課題となっています。

 今後のガイドライン更新では、これらの研究課題への取り組みを通じて、より精緻化された推奨事項と、個別化医療の実現に向けた具体的な指針が期待されます。臨床実践における継続的なエビデンスの蓄積と、多職種連携による包括的アプローチの更なる発展が、頸部疼痛患者の転帰改善に寄与すると考えられます。


参考文献

[1]

R. M. J. de Zoete, “Exercise Therapy for Chronic Neck Pain: Tailoring Person-Centred Approaches within Contemporary Management,” Journal of Clinical Medicine, Nov. 2023, doi: 10.3390/jcm12227108.

[2]

M. F. Andreu et al., “Contextual Factors-Enriched Standard Care on mechanical neck pain (ContextualizAR trial): Protocol for a randomised controlled trial.,” Musculoskeletal Care, vol. 22, no. 2, pp. e1894–e1894, May 2024, doi: 10.1002/msc.1894.

[3]

P. Blanpied et al., “Neck Pain: Revision 2017,” Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, vol. 47, no. 7, June 2017, doi: 10.2519/JOSPT.2017.0302.

[4]

U. Boonyapo, A. Rushton, N. R. Heneghan, P. Dilokthornsakul, N. Phungwattanakul, and T. Wiangkham, “Effectiveness of interventions for middle-aged and ageing population with neck pain: a systematic review and network meta-analysis protocol,” BMJ Open, vol. 12, no. 6, pp. e060373–e060373, June 2022, doi: 10.1136/bmjopen-2021-060373.

[5]

J. S. Price, A. Rushton, A. Rushton, V. Tyros, and N. R. Heneghan, “Expert consensus on the important chronic non-specific neck pain motor control and segmental exercise and dosage variables: An international e-Delphi study.,” PLOS ONE, vol. 16, no. 7, July 2021, doi: 10.1371/JOURNAL.PONE.0253523.

[6]

E. Thoomes, M. T. Graaf, J. A. Cleland, A. Gallina, and D. Falla, “Timing of Evidence-Based Nonsurgical Interventions as Part of Multimodal Treatment Guidelines for the Management of Cervical Radiculopathy: A Delphi Study.,” Physical Therapy, vol. 102, no. 5, Jan. 2022, doi: 10.1093/ptj/pzab312.

[7]

J. D. Bier et al., “Clinical Practice Guideline for Physical Therapy Assessment and Treatment in Patients With Nonspecific Neck Pain,” Physical Therapy, vol. 98, no. 3, pp. 162–171, Mar. 2018, doi: 10.1093/PTJ/PZX118.

[8]

A. I. S. de Oliveira-Souza et al., “Comparative Effectiveness of Manual Therapy, Pharmacological Treatment, Exercise Therapy, and Education for Neck Pain (COMPETE Study): Protocol of a Systematic Review with Network Meta-Analysis”, doi: 10.1186/s13643-024-02737-4.

[9]

R. Chou et al., “The Global Spine Care Initiative: applying evidence-based guidelines on the non-invasive management of back and neck pain to low- and middle-income communities,” European Spine Journal, vol. 27, no. 6, pp. 851–860, Feb. 2018, doi: 10.1007/S00586-017-5433-8.

[10]

P. Kjaer et al., “National clinical guidelines for non-surgical treatment of patients with recent onset neck pain or cervical radiculopathy,” European Spine Journal, vol. 26, no. 9, pp. 2242–2257, May 2017, doi: 10.1007/S00586-017-5121-8.

[11]

P. Côté et al., “Management of neck pain and associated disorders: A clinical practice guideline from the Ontario Protocol for Traffic Injury Management (OPTIMa) Collaboration,” European Spine Journal, vol. 25, no. 7, pp. 2000–2022, Mar. 2016, doi: 10.1007/S00586-016-4467-7.

[12]

A. Bussières et al., “The Treatment of Neck Pain-Associated Disorders and Whiplash-Associated Disorders: A Clinical Practice Guideline.,” Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics, vol. 39, no. 8, pp. 523–564, Oct. 2016, doi: 10.1016/J.JMPT.2016.08.007.

[13]

I. Lin et al., “What does best practice care for musculoskeletal pain look like? Eleven consistent recommendations from high-quality clinical practice guidelines: systematic review,” British Journal of Sports Medicine, vol. 54, no. 2, pp. 79–86, Jan. 2020, doi: 10.1136/BJSPORTS-2018-099878.

[14]

C. A. Basson, B. Olivier, and A. Rushton, “Neck Pain in South Africa: An Overview of the Prevalence, Assessment and Management for the Contemporary Clinician,” South African journal of physiotherapy, vol. 75, no. 1, pp. 1332–1332, Sept. 2019, doi: 10.4102/SAJP.V75I1.1332.

[15]

J. S. Price, A. Rushton, V. Tyros, and N. R. Heneghan, “Consensus on the exercise and dosage variables of an exercise training programme for chronic non-specific neck pain: protocol for an international e-Delphi study.,” BMJ Open, vol. 10, no. 5, May 2020, doi: 10.1136/BMJOPEN-2020-037656.

本報告書は2025年10月時点の最新エビデンスに基づいて作成されました。治療方針の決定には必ず最新のガイドラインと個々の患者状況を考慮してください。

関連記事はこちら

当院の治療方法に興味があるなら

ごあいさつ

院長の新幡です

 長引いた痛みを一人で治すのは困難なことが多いです。

 困ったときは自身で判断せずに適切な処置を受けるために専門家に相談しましょう。

 もし、お近くにお住まいで、困っているならば、一度ひまわり接骨院までお問い合わせください。腰痛・坐骨神経痛の専門家の新幡が、ご相談に乗ります。

 気軽にご相談ください。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
044-299-9707

受付時間:月~土 9:00〜13:00 /15:00〜19:00
定休日:日曜・祝日

新着情報・お知らせ

2025/10/11
 身体の痛みの各種ガイドラインの倉庫に新しい記事を公開しました。足底筋膜炎患者さんへの診療ガイドライン
2025/09/23
2025年 10月のお休み
 
平常通り営業いたします。
 
日・祝休み
13日(月)は祝日の為お休みいたします。
 
2025/08/20
お悩み相談室に新しい記事を公開しました。「坐骨神経痛予防に最も効果的な方法
 

お気軽にお問合せください

営業日カレンダー

2025年10月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
が定休日です。

お電話でのお問合せ・相談予約

044-299-9707

<受付時間>
月~土
9:00〜13:00 /15:00〜19:00
※日曜・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

ひまわり接骨院

住所

 〒213-0002 
神奈川県川崎市高津区二子1丁目7−17 リバーサイドマンション杉崎 102

アクセス

二子新地駅 徒歩3分 
駐車場:近隣にコインパーキングあり。自転車・バイクは店舗前に駐輪場がございます。

受付時間

月~土 
9:00〜13:00 /15:00〜19:00

定休日

日曜・祝日