高津区二子新地の整体腰痛・坐骨神経痛専門

ひまわり接骨院

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慢性腰痛に椎間関節ブロック注射は効果あるのか？

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公開日：2022/06/02
更新日：2025/09/09

　慢性腰痛（発症から3か月以上経過した腰痛）に対する椎間関節ブロック注射の効果について、複数のデータベースから得られた包括的な研究結果を分析し、エビデンスに基づいた知見をご提供します。

慢性腰痛への椎間関節ブロックのエビデンス

要約

　椎間関節注射はプラセボと比較して一貫性のない、一般的に軽度の短期的な疼痛軽減効果を示す。統合解析では明確な長期的な有益性は認められない。

有効性と疼痛軽減効果

　椎間関節注射（関節内ステロイドまたは局所麻酔薬）および内側枝ブロックは、疼痛に対して不均一で概して軽度の効果を示す。系統的レビューとメタ分析では、RCTと観察研究で結果が混在しており、多くの試験で短期的な有益性は認められるものの、対照群に対する一貫した長期的な優位性はほとんど示されていない[1] [3]。

統合試験エビデンス

　関節内注射と生理食塩水の比較メタ解析（3試験、247患者）では、即時、1-1.5ヶ月、3-6ヶ月時点で有意差なし[2]。

大規模レビュー結果

　大規模系統的レビューでは結果が一貫せず、一部のRCTで一時的疼痛軽減を示すが、効果は小さく持続しません[1] [3]。

エビデンスの質

　レビューでは研究の質にばらつきが認められ、高品質な試験も複数存在するが、全体的な異質性により統合効果の精度が制限されている[1] [3]。

疼痛緩和の持続期間と比較

　短期的な緩和（数時間～数週間）が最も多く報告されており、統合解析では数ヶ月を超える持続的な効果は稀である。椎間関節注射（関節内ステロイドまたは局所麻酔薬）と内側枝ブロックは、疼痛に対して一般的に控えめな効果を示します。

椎間関節ブロックの考え方

　慢性腰痛（発症から3か月以上経過した腰痛）に対して椎間関節ブロックの有効性を結論付けることは難しいようです。

　このように、椎間関節ブロックやそれに類する介入の効能は限定的であることが明らかになっていますが、プラセボ効果や治療に対する反応の個人差により、患者によっては依然として主観的な改善が見られる場合はあります。

　ガイドラインでは、
　内側枝ブロックを主に高周波熱凝固術前の診断テストとして使用し、慎重な患者選択を推奨。関節内ステロイド注射を一般的使用の信頼できる持続的治療選択肢として支持していません。

　慢性化してしまった痛みに対する注射について学ぶ際に、冒頭に戒めとして、「注射だけで改善させようとしない」ことと学びます。

　それは慢性痛治療の主役は、リハビリや生活改善、心理療法で身体や心を整えることであり、注射などの薬物療法は補助だからです。

　そもそも、慢性化した腰痛に、薬物療法（飲み薬・貼り薬・注射）や手術は有効性は低いです。　

　また、効いたとしても、注射に頼り過ぎるということは、痛みの捉われを生んだり、他力本願で依存に陥り、更なる慢性化の悪循環を促進してしまう為です。

　現在、「患者さん自身が治療方針を理解し、納得し、主体的に治療に参加する（医療者と患者さんが協力して治療を進めていく）」ことが高い治療効果を発揮することがわかっています。

　私の臨床での経験上、「痛みの捉われ」や「依頼心」が強い方は上記の治療を進めることが困難なことが多いと感じています。

　元々、「痛みの捉われ」や「依頼心」が強いのか？治療を受けている間にそうなってしまったのか？　患者さんそれぞれで異なる物語があると思うのですが、自己効力感を高める・主体性を高める方向に進んで頂きたいと願います。

　また、医療者は患者さんの「痛みの捉われ」や「依頼心」を強めない対応が必要です。

引用元

　[1] L. Manchikanti, E. Knezevic, N. Knezevic, M. Sanapati, A. Kaye, S. Abdi, S. Soin, and J. Hirsch, "Effectiveness of Facet Joint Nerve Blocks in Managing Chronic Axial Spinal Pain of Facet Joint Origin: A Systematic Review and Meta‑Analysis," Pain Physician, 2024.

　[2] A. Suputtitada, T. Nopsopon, T. Rittiphairoj, and K. Pongpirul, "Intra‑articular facet joint injection of normal saline for chronic low back pain: a systematic review and meta‑analysis," Medicina (Kaunas), vol. 59, no. 6, 2023.

　[3] L. Ambrosio, G. Vadala, and F. Russo, "Interventional minimally invasive treatments for chronic low back pain caused by lumbar facet joint syndrome: A systematic review," Global Spine J., 2022, doi: 10.1177/21925682221142264

　[4] S. H. Noh and D. A. Shin, "Effectiveness of a Facet Joint Block Versus a Medial Branch Block in Spinal Pain Management: A Systematic Review and Meta‑Analysis," Neurospine, 2025, doi: 10.14245/ns.2550384.192

　[5] Z. M. Ashmore, M. M. Bies, J. B. Meiling, et al., "Ultrasound‑guided lumbar medial branch blocks and intra‑articular facet joint injections: a systematic review and meta‑analysis," Pain Rep., 2022.

　[6] J. C. Mandell, "Predictors of outcomes after lumbar intra‑articular facet joint injections and medial branch blocks: a scoping review," Spine, 2023, doi: 10.1097/BRS.0000000000004776

　[7] D. Fogarty, A. Buttner, A. Duszynski, et al., "The effectiveness of fluoroscopically guided lumbar facet steroid joint injections: A systematic review," Interventional Pain Medicine, 2025, doi: 10.1016/j.inpm.2025.100587