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ひまわり接骨院

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ドケルバン病（狭窄性腱鞘炎）患者さん向け診療ガイドライン

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公開日：2025/11/27
更新日：2025/00/00

　親指の付け根から手首にかけての痛みでお困りではありませんか？ドケルバン病（狭窄性腱鞘炎）は、日常生活や仕事に支障をきたす一般的な手の疾患です。本ページでは、最新のエビデンスに基づいた診断方法、治療選択肢、そして回復への道のりについて詳しくご説明します。

ドケルバン病（狭窄性腱鞘炎）とは

　ドケルバン病（狭窄性腱鞘炎）は、親指の付け根にある腱と腱鞘の炎症による疾患です。橈骨茎状突起部と呼ばれる手首の親指側に痛みや腫れが生じ、特に把持動作やつまみ動作で症状が悪化します。

　妊娠・育児期の女性、反復作業を行う方に多く見られます。早期診断と適切な治療により、多くの患者さんが改善されます。まずは臨床診断から始め、必要に応じて画像検査や専門医への紹介を検討します。

主な症状と診断方法

痛みと圧痛

　橈骨茎状突起上の圧痛点、把持・つまみ動作時の疼痛が特徴的です。腫脹や親指運動時の轢音を伴うこともあります。

臨床検査

　アイホッフテスト（Eichhoffテスト）とフィンケルシュタインテストで症状を誘発します。感度は高いものの、他の疾患との鑑別には限界があります。

病歴聴取

　発症時期、悪化する動作、妊娠歴、リウマチ学的危険因子を含めた詳細な問診が診断の鍵となります。

診断の実際：臨床検査の活用

ベッドサイド検査法

　フィンケルシュタインテストでは、親指を反対の手で握り、小指側に近づくように曲げます。アイホッフテスト（Eichhoffテスト）では、親指を他の四本の指で握り込んだ拳を作り、同様に尺側（小指側）に曲げる。

　その結果、手首の親指側や親指の付け根あたりに痛みが出れば陽性です。

　これらの検査は症状誘発に有効ですが、特異度には限界があります。非典型的な症状や両側性の場合、治療抵抗性の場合には、画像検査や専門医への紹介を検討します。

画像診断：いつ、なぜ必要か

検査法	典型的所見	対象範囲	主な推奨事項
超音波検査	腱鞘肥厚、液貯留、腱肥大、隔壁	診断不確実時、注射前、術前評価	隔壁検出に優れ、注射ガイドが可能
MRI	腱鞘浮腫、腱膜変化	非典型症状、他疾患が疑われる場合	深部病変評価に有用
X線検査	骨変化（稀）	関節炎や骨折の除外	ドケルバン病自体の診断価値は限定的

保存的治療：第一選択アプローチ

活動制限と教育

　親指への負荷を誘発する動作を避け、人間工学的な工夫を取り入れます。大型ハンドルの使用や反復作業の中断が有効です。

親指固定装具

　前腕や親指を支えて固定する装具・サポーターを3～4週間使用します。指間関節は可動域を保ちながら、手首と親指の付け根を固定します。

コルチコステロイド注射

　固定療法と併用することで、最も高い治療効果が得られます。超音波ガイド下注射により精度が向上します。

注射療法の詳細とエビデンス

超音波ガイド下注射の利点

　超音波ガイド下注射は針の配置精度を90～100％まで向上させ、ランドマーク注射よりも高い成功率（73～100％ vs 59～83％）を示します。隔壁が存在する場合、多点注射により有効性がさらに高まります。

　一部のメタアナリシスでは治療必要数（NNT：1人の患者に治療効果を出すために、何人にその治療を行う必要があるかを示す指標）が約2と算出。注射を２人が試すと、その内の1人が改善するの意味。

安全性と副作用

　コルチコステロイド注射は一般的に安全ですが、一過性の局所疼痛、皮膚変化、腱弱化（稀）などの副作用について患者さんに十分説明することが重要です。

　系統的レビューとメタ解析により、固定単独と比較して症状解消率と疼痛軽減率が有意に高いことが示されています。注射と固定の併用が第一選択療法として推奨されます。

手術療法：適応と成績

１：保存的治療の適切な試行

　コルチコステロイド注射と固定療法を含む保存的治療を数週間から数ヶ月実施します。複数回の注射後も症状が再発する場合、手術を検討します。

２：手術適応の判断

　持続的な機械的引っかかり感、機能制限、画像検査で明らかな解剖学的異常が認められる場合に手術が適応となります。

３：手術実施と回復

　区画内の圧力を下げる第一背側コンパートメント解放術により、高い症状改善率が得られます。術前の超音波診断により、隔壁や多発腱滑走を確認し不完全リリースを防ぎます。

手術成績と合併症

症状改善を得られる患者さんの割合

　95％。手術により残存疼痛は約5%のみとなり、VASスコアは平均5.7点低下します。

合併症率

　１１％。橈骨神経の障害、瘢痕問題、まれな腱亜脱臼などが含まれます。適切な術者経験により合併症リスクを最小化できます。

　縦方向に開放するリリース術が標準的手法であり、橈骨神経浅枝の慎重な同定と保護が必須です。内視鏡下手術やWALANTアプローチ（局所麻酔薬と止血剤を用いて、鎮静剤や止血帯を使用せずに手術に適した状態を実現する外科手術法）は経験豊富な術者による代替法で、回復期間の短縮や美容的差異をもたらす可能性があります。

患者さんへの指導とフォローアップ

１：自己管理の基本

　活動制限、装具使用（3～4週間）、短期NSAIDsの組み合わせが重要です。日常で、親指や手首に負担をかけないようにしましょう。

２：改善の目安

　多くの患者さんは注射と固定併用により数週間以内に改善します。適切な治療後も改善が見られない、または症状が悪化した場合は再受診してください。

３：専門医紹介のタイミング

　最適化された保存的治療後も持続する疼痛、注射後の症状再燃、神経障害の徴候、診断不確実性がある場合は手の専門医への紹介が必要です。

重要なお知らせ

　ド・ケルバン病（狭窄性腱鞘炎）は適切な治療により多くの患者さんが改善する疾患です。症状や治療経過について不安がある場合は、遠慮なく医療機関にご相談ください。

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