〒213-0002 神奈川県川崎市高津区二子1丁目7−17

リバーサイドマンション杉崎 102 二子新地駅 徒歩3分

  日祝
9:00〜13:00
15:00〜19:00
お気軽にお問合せ・ご相談ください
044-299-9707

ばね指(弾発指)患者さん向け診療ガイドライン

公開日:2025/11/27
更新日:2025/00/00

ばね指(弾発指)で指が痛む患者さん

 ばね指(弾発指)は、指の曲げ伸ばし時に引っかかりや痛みが生じる一般的な疾患です。本ガイドでは、診断方法から最新の治療オプションまで、臨床的に重要な情報を網羅的にご紹介します。


ばね指(弾発指)とは

 ばね指(弾発指)は、指の屈筋腱とそれを取り囲むA1滑車(指を曲げる腱の浮き上がりを抑え、力を有効に伝える滑車「靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)」)の間で生じる炎症性疾患です。腱の肥厚または滑車の狭窄により、指の屈曲・伸展時に腱がスムーズに滑らなくなり、特徴的な「引っかかり」や「パチンという音」が生じます。

 この疾患は、反復的な手作業を行う方や糖尿病をお持ちの方に多く見られます。適切な診断と治療により、多くの患者さんで症状の改善が期待できます。早期発見と適切な管理が、長期的な機能回復の鍵となります。

診断:症状の確認と重症度分類

 ばね指の診断は臨床的に行われ、特別な検査機器は通常必要ありません。以下の特徴的な症状と診察所見により診断を確定します。

主要な症状

  • 指の付け根の痛み
  • 引っかかり感やパチンという音
  • 朝方の症状悪化
  • 反復動作での増悪

身体診察所見

  • 掌側A1滑車部【靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)】の圧痛
  • 触知可能な結節(しこり)
  • 自動運動の指の曲げ伸ばしでの再現
  • 他動運動で指を伸ばされる時に制限

重症度分類

  • グリーン分類(4段階評価)(ばね指の症状を等級分けするシステムであり、誘発の程度と可逆性に基づいて重症度を分類)
  • クインネル分類(5段階評価)
  • 間欠的(一時的には伸びなくなるが、再び戻る状態)から固定(指が固定され完全に伸ばせない状態)まで
  • 治療方針の決定に重要

 臨床記録のポイント:症状を示す指の特定、左右の区別、症状持続期間、トリガー現象の程度、糖尿病の有無、過去の治療歴、機能への影響度を必ず記録してください。


画像診断:必要性と実施時期

 典型的なばね指(弾発指)の診断には、通常画像検査は必要ありません。しかし、診断が不確実な場合や他の疾患を除外する必要がある場合には、画像診断が有用となります。

 超音波検査が第一選択です。高分解能の超音波プローブを使用することで、A1滑車の肥厚【靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)】、腱の拡大、腱鞘炎、結節などを静的・動的に評価できます。また、健側の指と比較することで、より正確な診断が可能になります。

画像検査の適応判断

 典型的症状があり危険徴候がない場合は不要

超音波検査の実施

 第一選択として高周波リニアプローブを使用

MRIの検討

 深部軟部組織腫瘤や複雑な症例でのみ考慮

画像ガイド下処置

 経皮的リリースや注射の精度向上に活用


保存的治療:装具療法とスプリント固定

 軽度から中等度のばね指に対する第一選択治療として、装具療法が推奨されます。中手指節関節(MCP)を中立位で固定することで、腱の安静を保ち、炎症の軽減を図ります。

1:初期段階(0-2週)

 MCP伸展スプリントまたはオーバル8型の装着開始。1日8時間以上の使用を目標とします。

2:中期段階(2-4週)

 活動制限と腱滑走運動の併用。日常生活での反復的な把持動作を避けます。

3:評価期(4-6週)

 症状の改善度を評価。約50-65%の患者さんで症状解消が期待できます。

継続判断

 効果が不十分な場合、次のステップ(注射療法等)を検討します。

 「無作為化試験では、1年時点で装具療法単独とステロイド注射の間に臨床的に重要な差は認められず、装具療法が妥当な第一選択であることが支持されています。」


副腎皮質ステロイド注射:効果とリスク

注射療法の有効性

 副腎皮質ステロイド注射は、短期的な症状改善において高い効果を示します。A1滑車部の屈筋腱鞘内に局所麻酔薬とステロイドの混合液を注入することで、炎症を直接抑制します。

 単回注射での成功率は約56-64%と報告されており、プラセボや他の非外科的治療と比較して優れた効果を示します。ただし、再発率は個人差があり、特に糖尿病患者さんでは効果が低下する傾向があります。

 効果発現時期:症状改善までの期間 1~3週間 です。

注射回数と安全性

 反復注射により累積的な成功率は向上しますが、同一指への注射は生涯で2回までが一般的な推奨です。3回以上の注射は、腱損傷などの合併症リスクを高める可能性があります。

 注射後に手術を検討する場合は、感染リスクを考慮し、注射から約3ヶ月間の期間を空けることが推奨されます。適切な解剖学的配置と無菌操作が重要です。


外科的治療:手術の適応と方法

 保存的治療で効果が得られない場合、または進行した病態では、外科的治療が推奨されます。手術は根治的な治療法であり、高い成功率と低い再発率を誇ります。

手術適応の判断

 保存的治療失敗後の持続症状、固定屈曲変形、診断不確実性、高リスク患者における多指病変が該当します。

開放式A1滑車解放術

 伝統的な根治的治療法。A1滑車を切断する術式。症状解消率が高く、再発率が低い標準的手術です。6-12ヶ月後の再発リスクは注射の約17%です。

経皮的リリース

 超音波ガイド下で行う低侵襲手術。成功率約94%と高い効果を示し、早期機能回復が期待できます。

手術方法の比較

 各治療法の再発率を比較すると、外科的治療の優位性が明確です。開放手術は最も低い再発率を示しますが、経皮的リリースも優れた結果を提供し、より早い回復が期待できます。

 再発率:滑車解放術:5%、経皮的リリース:8%、ステロイド注射:35%  

 合併症は経験豊富な術者により実施される場合まれですが、一過性の疼痛、感染、神経損傷、腱損傷などのリスクが存在します。


治療選択のフローチャート

初期診断と評価

 病歴聴取、身体診察、重症度分類の実施。危険徴候の有無を確認します。

第一段階:保存的治療

 患者教育、活動制限、4-6週間の装具療法、腱滑走運動を開始します。

第二段階:注射療法

 装具療法で改善しない場合、副腎皮質ステロイド注射を検討(最大2回まで)。

第三段階:外科的治療

 保存的治療失敗例、固定変形例、または患者希望により手術を実施します。

 糖尿病患者への特別な配慮:糖尿病をお持ちの患者さんでは、保存的治療への反応が低下する傾向があります。症状持続期間が長い場合や複数指に症状がある場合は、早期の専門医紹介を検討してください。


新しい治療法と補助療法

 従来の治療法に加え、近年さまざまな新しい治療アプローチが研究されています。これらの方法は、まだ大規模な臨床試験での確立には至っていませんが、一部の患者さんで有益性が示されています。

理学療法と作業療法

 腱滑走法、活動修正、専門的な手技療法は推奨される補助療法です。リスクが低く、日常生活での自己管理にも役立ちます。

体外衝撃波療法

 非侵襲的な物理療法として注目されています。一部の研究で症状改善が報告されていますが、標準治療としての確立にはさらなる研究が必要です。

超音波ガイド下技術

 経皮的処置の精度を大幅に向上させます。統合分析では非ガイド法より高い成功率を示し、合併症リスクの低減にも寄与します。

 「新興治療法については、一部の研究で有益性が示されていますが、広範な採用には大規模な高品質試験が必要です。患者さんと十分に相談し、エビデンスレベルを理解した上で選択することが重要です。」


患者さんへ:自己管理と生活指導

日常生活での注意点

活動制限

 反復的な強い把持動作や高振動工具の使用を避けてください

スプリント装着

 夜間または日中のMCP伸展スプリントを指示通りに使用します

腱滑走運動

 1日数回、スプリントを一時的に外して優しく運動を行います

疼痛管理

 必要に応じてパラセタモールやNSAIDsを使用できます

再評価が必要なサイン

  • 疼痛の著しい増悪
  • 発赤、腫脹、発熱(感染の疑い)
  • 指関節が完全に伸ばせない固定拘縮
  • 適切な治療後も4-6週間改善しない症状

治療期間の目安

装具療法

 4-6週間の継続使用が標準です。

ステロイド注射

 数日から数週間で効果が現れます。

手術後

 経皮的リリースでは数日、開放手術では2-4週間で機能回復が期待できます。

予後について

 多くの患者さんで非手術的治療により改善が得られます。注射療法では再発の可能性があり、糖尿病患者さんでは効果が低下することがあります。

 手術は最も持続的な選択肢であり、95%以上の患者さんで良好な長期成績が報告されています。

経過観察のスケジュール

 初回治療開始後、4-8週間後に経過観察を行います。症状が悪化した場合は早期に再診してください。

 複数回の注射や長期の装具療法後も改善しない場合は、専門医への紹介を検討します。


重要なお知らせ

 ばね指(弾発指)は適切な診断と段階的な治療により、多くの患者さんで良好な予後が期待できます。ご不明な点や症状の変化がありましたら、遠慮なく医療機関にご相談ください。

参考文献

[1]

P. A. Simpson, “Management of stenosing flexor tenosynovitis in primary care,” Singapore Medical Journal, vol. 64, no. 4, pp. 255–255, Jan. 2023, doi: 10.4103/singaporemedj.smj-2021-262.

[2]

B. M. A. Huisstede, P. Hoogvliet, J. H. Coert, and J. Fridén, “Multidisciplinary Consensus Guideline for Managing Trigger Finger: Results From the European HANDGUIDE Study,” Physical Therapy, vol. 94, no. 10, pp. 1421–1433, Oct. 2014, doi: 10.2522/PTJ.20130135.

[3]

R. Amirfeyz et al., “Evidence-based management of adult trigger digits:,” Journal of Hand Surgery (European Volume), vol. 42, no. 5, pp. 473–480, June 2017, doi: 10.1177/1753193416682917.

[4]

A. H. Makkouk, M. E. Oetgen, C. R. Swigart, and S. D. Dodds, “Trigger finger: etiology, evaluation, and treatment,” Current Reviews in Musculoskeletal Medicine, vol. 1, no. 2, pp. 92–96, June 2008, doi: 10.1007/S12178-007-9012-1.

[5]

E. Pedrosa et al., “Efetividade do tratamento não cirúrgico na recuperação do movimento do dedo em gatilho - tenossinovite estenosante”, doi: 10.5102/2965-7121.v.1.n1.05.

[6]

E. P. Johnson, J. Stelzer, A. B. Romero, and J. R. Werntz, “Recognizing and treating trigger finger.,” Journal of Family Practice, vol. 70, no. 7, pp. 334–340, Sept. 2021, doi: 10.12788/JFP.0239.

[7]

P. Joldersma, “Trigger finger/tendovaginitis stenosans (TVS),” pp. 95–104, Jan. 2020, doi: 10.1007/978-90-368-2422-4_13.

[8]

P.-C. Shen et al., “Comparative effectiveness of various treatment strategies for trigger finger by pairwise meta-analysis:,” Clinical Rehabilitation, vol. 34, no. 9, pp. 1217–1229, June 2020, doi: 10.1177/0269215520932619.

[9]

M. Ryzewicz and J. M. Wolf, “Trigger digits: principles, management, and complications.,” Journal of Hand Surgery (European Volume), vol. 31, no. 1, pp. 135–146, Jan. 2006, doi: 10.1016/J.JHSA.2005.10.013.

[10]

E. R. Ricarte-Almeida et al., “Evidence in treatment of trigger finger: a review,” International Surgery Journal, vol. 10, no. 10, pp. 1727–1731, Sept. 2023, doi: 10.18203/2349-2902.isj20232872.

[11]

T. Bridges, E. Ohliger, and J. M. Kistler, “Trigger Finger: Evaluation, Management, and Outcomes,” vol. 1, no. 1, Mar. 2023, doi: 10.58616/surgicoll.00003.

[12]

Y. Liang, L. Chen, Y. Cui, C. Du, Y. Xu, and L. Yin, “Ultrasound-guided acupotomy for trigger finger: a systematic review and meta-analysis,” Journal of Orthopaedic Surgery and Research, vol. 18, pp. 1–11, Sept. 2023, doi: 10.1186/s13018-023-04127-3.

[13]

H. Cheng-zhi, C. Xue-lei, W. Lin, Q. Wei-kai, D. Yong-li, and Z. Yong, “Effectiveness of Shockwave Therapy for Stenosing Tenosynovitis: A Meta-Analysis”, doi: 10.13210/j.cnki.jhmu.20191009.002.

[14]

S. B. Fleisch, K. P. Spindler, and D. H. Lee, “Corticosteroid injections in the treatment of trigger finger: a level I and II systematic review.,” Journal of The American Academy of Orthopaedic Surgeons, vol. 15, no. 3, pp. 166–171, Mar. 2007, doi: 10.5435/00124635-200703000-00006.

[15]

D. Donati et al., “From diagnosis to rehabilitation of trigger finger: a narrative review,” BMC Musculoskeletal Disorders, vol. 25, no. 1, Dec. 2024, doi: 10.1186/s12891-024-08192-5.

[16]

A. A. Salunke, “Corticosteroid Injection for the Treatment of Trigger Finger: A Meta-Analysis of Randomised Control Trials,” The journal of hand surgery, vol. 27, no. 01, pp. 89–97, Feb. 2022, doi: 10.1142/s242483552250014x.

関連記事はこちら

当院の治療方法に興味があるなら

ごあいさつ

院長の新幡です

 長引いた痛みを一人で治すのは困難なことが多いです。

 困ったときは自身で判断せずに適切な処置を受けるために専門家に相談しましょう。

 もし、お近くにお住まいで、困っているならば、一度ひまわり接骨院までお問い合わせください。腰痛・坐骨神経痛の専門家の新幡が、ご相談に乗ります。

 気軽にご相談ください。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
044-299-9707

受付時間:月~土 9:00〜13:00 /15:00〜19:00
定休日:日曜・祝日

新着情報・お知らせ

2025/11/01
2025年 11月のお休み
 
平常通り営業いたします。
 
日・祝休み
3日(月)・24日(月)は祝日の為お休みいたします。
 
2025/11/17
 身体の痛みの各種ガイドラインの倉庫に新しい記事を公開しました。脊柱管狭窄症患者さん向けの診療ガイドライン
2025/11/20
身体の痛みの各種ガイドラインの倉庫に新しい記事を公開しました。「腰部椎間板ヘルニア患者さん向け診療ガイドライン
 

お気軽にお問合せください

営業日カレンダー

2025年11月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
が定休日です。

お電話でのお問合せ・相談予約

044-299-9707

<受付時間>
月~土
9:00〜13:00 /15:00〜19:00
※日曜・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

ひまわり接骨院

住所

 〒213-0002 
神奈川県川崎市高津区二子1丁目7−17 リバーサイドマンション杉崎 102

アクセス

二子新地駅 徒歩3分 
駐車場:近隣にコインパーキングあり。自転車・バイクは店舗前に駐輪場がございます。

受付時間

月~土 
9:00〜13:00 /15:00〜19:00

定休日

日曜・祝日