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MRI検査で分かること:膝痛

公開日:2026/02/16
更新日:2026/00/00

膝のMRI所見の説明を受ける女性

 膝の痛みMRI画像上の異常との相関関係を多角的に分析したものです。研究データによると、骨髄病変滑膜炎は痛みとの強い結びつきを示しますが、軟骨の摩耗や半月板の損傷との関連性は限定的であることが指摘されています。

 時間の経過に伴う変化を追跡しても、画像上の改善が必ずしも症状の緩和に直結するわけではなく、因果関係の特定には至っていません。

 また、画像に異常があっても無症状であるケースは多く、痛みの発生には複数の要因が複雑に絡み合っていることが示唆されています。総じて、MRIの診断結果だけで痛みの原因を断定することは難しく、臨床的な判断には慎重なアプローチが必要であると結論付けています。

目次

  1. MRIで見つかる異常と実際の膝の強さは、どの程度一致しますか?

    1. 顕著な「不一致(Discordance)」

    2. 異常の種類による一致度の違い

    3. 統計的な関連と臨床的な実感の差

    4. 「画像が治れば痛みが消える」とは限らない

    5. 結論

 

  1. MRIで軟骨の減少が痛みに直接つながらない理由と、その背景にある仕組みは何ですか?

    1. 軟骨自体が主要な「痛み発生源」ではないため

    2. 「媒介(Mediation)」という仕組み

    3. 痛みを感じる組織(傷害受容組織)の違い

    4. 統計的な乖離

    5. 結論
       

  1. 滑膜炎が痛みを引き起こす具体的なメカニズムは何ですか?

    1. 傷害受容の直接的な発生源(傷害受容能)

    2. 他の組織の異常を痛みに変換する「媒介」機能

    3. 痛みの変動との連動

    4. 結論

 

  1. 滑膜炎以外に痛みを媒介する可能性がある要因は何ですか?

    1. 骨髄病変 (Bone Marrow Lesions: BMLs)

    2. 関節液貯留 (Effusion)

    3. 構造的な不安定性 (Structural Instability)

    4. 半月板の病変 (Meniscal Pathology)

    5. 軟骨下骨の露出と骨棘 (Osteophytes)

    6. 四頭筋の筋力低下 (Quadriceps Weakness)

    7. まとめ
       

  1. 骨髄病変(BMLs)が痛みを引き起こす具体的な理由は何ですか?

    1. 組織自体が「痛みを感じる能力」を持っているため

    2. 痛みとの強固で一貫した関連性

    3. 症状の発生や悪化に先行・並行する性質

    4. 複合的なメカニズム(炎症性・機械的要因)

    5. まとめ
       

  1. 関節の「構造的な不安定性」はどのように痛みに繋がりますか?

    1. 軟骨減少による不安定化と「媒介」

    2. 力学的な負荷と痛みの経路

    3. 多面的な要因の連鎖

    4. 結論
       

  2. 半月板の損傷はどの程度の確率で痛みに繋がりますか?

    1. 新規損傷によるリスクの上昇

    2. 他の要因と比較した関連の強さ

    3. 「異常があっても痛くない」ケースの多さ(画像と症状の乖離)

    4. 時間的な経過

    5. 結論
       

  3. 安静時と負荷時で痛みの原因となる組織は異なりますか?

    1. 炎症性・反応性経路(主に安静時の痛みに関与)

    2. 機械的・構造的経路(主に負荷時の痛みに関与)

    3. なぜ組織によって痛みの出方が違うのか

    4. 結論

       

MRIで見つかる異常と実際の膝の痛みの強さは、どの程度一致しますか?

 参考文献に基づくと、MRIで見つかる異常と実際の膝の痛みの強さは、必ずしも一致するわけではなく、多くの場合はその関連性は限定的であると言えます。

 具体的には、以下の4つのポイントに整理されます。

顕著な「不一致(Discordance)」

 MRIで確認される異常と患者が感じる症状の間には、**「顕著な不一致」**があることが指摘されています。

• 症状のない異常: MRI上で変形性膝関節症(OA)と定義される異常が見つかっても、臨床的に意味のある症状を伴わないケースが非常に多く存在します。

• 予測の難しさ: ベースライン(初期状態)のMRIで異常が見つかったとしても、その後の長期的な経過において、将来的に痛みが発生するかどうかを確実に予測できるわけではありません。

異常の種類による一致度の違い

 異常が見つかる部位によって、痛みとの関連性の強さ(一致度)が異なります。

• 一致度が比較的高いもの: 骨髄病変(BMLs)滑膜炎・関節液貯留は、膝の痛みと最も強く、かつ一貫して関連している指標です。これらは痛みを感じる神経がある組織であるため、比較的症状と連動しやすいとされています。

• 一致度が低いもの: 軟骨の減少や欠損、半月板の異常は、痛みとの関連が弱く、あるいは研究によって結果がバラバラです。

統計的な関連と臨床的な実感の差

 統計的に「関連がある」とされていても、その影響(効果量)は個々の患者が実感できるほど大きくないことが多々あります。

• 微小な影響: 例えば、2年間で内側の軟骨が0.1mm減少したとしても、WOMAC痛みスケール(20点満点)での増加はわずか0.32点に過ぎないという研究結果があります。

• 臨床的な重要性: 集団レベルの統計では関連が認められても、個々の患者にとって意味のある症状の差(臨床的重要性のしきい値)を下回ることが頻繁にあります。

「画像が治れば痛みが消える」とは限らない

 MRI上の異常を治療(修正)したからといって、必ずしも痛みが軽減するわけではないという点も重要です。

• 介入試験の結果: あるランダム化比較試験では、介入によってMRI上の骨髄病変のスコアが減少したにもかかわらず、痛みの明確な減少は見られなかったという例が報告されています。

• 因果関係の欠如: 画像上の変化が自動的に症状の変化に繋がるわけではなく、現時点では特定の病変と症状の間に明確な因果関係があるとは結論づけられていません。

結論

 MRIで見つかる異常はあくまで「痛みの背景にある多面的な要因の一部」を示しているに過ぎず、「画像上の異常=痛みの強さ」という単純な一致は期待できないというのが現在の知見です。


軟骨の減少が痛みに直接つながらない理由と、その背景にある仕組みは何ですか?

 軟骨の減少が痛みに直接つながらない理由とその仕組みについて解説します。

軟骨自体が主要な「痛み発生源」ではないため

 軟骨の減少や欠損と痛みとの関連性は、他の組織の異常と比較して弱く、あるいは一貫性がないことが研究で示されています。軟骨自体は、痛みを感じる組織としての能力(傷害受容能)において、滑膜や骨髄ほど支配的な役割を果たしていません。

「媒介(Mediation)」という仕組み

  軟骨の減少が痛みを引き起こす場合、それは直接的な影響ではなく、他の要因を介した**「媒介」という仕組み**によるものであることが示唆されています。

• 滑膜炎の関与: 軟骨の減少は、滑膜反応(滑膜炎)や関節液の貯留、あるいは構造的な不安定性を引き起こします。

• 痛みの増幅: 軟骨の減少そのものが痛みに寄与する度合いは小さく、その影響の大部分は「滑膜炎の悪化」という経路を通じて痛みとして現れます。つまり、軟骨が減ることで炎症が起き、その炎症が痛みを引き起こしているという構図です。

痛みを感じる組織(傷害受容組織)の違い

 膝の痛みと最も強く、かつ一貫して関連しているのは、軟骨ではなく以下の組織の異常です。

• 骨髄病変 (BMLs): 軟骨の下にある骨(軟骨下骨)の病変は、痛みや機能低下と中程度の関連があります。

• 滑膜炎・関節液貯留: これらは痛みとの関連が強く、症状の変動と密接に連動します。

これらの組織は傷害受容能(nociceptive potential)、すなわち痛みを感じる神経が関わっている組織であるため、軟骨の減少よりも直接的な痛みの原因となりやすいのです。

統計的な乖離

 実際のデータでも、軟骨の減少と痛みの程度の低さが示されています。

• 微小な影響: 2年間で内側軟骨が0.1mm減少しても、WOMAC痛みスケール(0〜20点)ではわずか0.32点しか増加しないという例が挙げられています。

• 症状のない異常: MRIで軟骨の異常(変形性膝関節症の定義に当てはまる状態)が見つかっても、臨床的な症状を伴わないケースが多く存在します。

結論

 軟骨の減少はそれ自体が直接痛みを生成するのではなく、滑膜の炎症や骨髄の病変といった、より痛みを感じやすい組織に影響を与えること(媒介)を通じて、間接的に痛みに寄与していると考えられています。


滑膜炎が痛みを引き起こす具体的なメカニズムは何ですか?

 滑膜炎が痛みを引き起こす具体的なメカニズムについて解説します。

 滑膜炎は、変形性膝関節症において痛みと最も強く、かつ一貫して関連している要因の一つであり、主に以下のメカニズムを通じて痛みを引き起こします。

傷害受容の直接的な発生源(傷害受容能)

 最も根本的な理由は、滑膜が「傷害受容能(nociceptive potential)」を持つ組織である、という点にあります。軟骨自体には痛みを感じる神経がありませんが、滑膜には痛みを感じる神経が備わっています。そのため、滑膜に炎症が起きる(滑膜炎)と、その組織自体が**「傷害受容のドライバー(痛みの発生源)」**となり、直接的に痛みを発信します。

他の組織の異常を痛みに変換する「媒介」機能

 滑膜炎は、軟骨の減少などの他の構造的変化と痛みを結びつける**「媒介(Mediation)」**という重要な役割を果たしています。

• 軟骨減少の媒介: 軟骨が減ること自体による痛みは微小ですが、その減少が滑膜の反応(炎症)を誘発し、その滑膜炎が結果として痛みを引き起こすという経路が示唆されています。

• 構造的・力学的変化の媒介: 四頭筋の筋力低下や関節の不安定性といった問題も、滑膜炎を介して痛みに変換されるというもっともらしい因果経路が考えられています。

 痛みの変動との連動

 滑膜炎は、痛みの強弱や発生と時間的に密接に関わっています。

• 症状の追跡: 滑膜炎のスコアの変化は、痛みの変動(悪化や軽減)と並行して起こることが確認されており、炎症の状態が痛みのレベルをリアルタイムに左右していることを示しています。

• 炎症性・反応性経路: 滑膜炎は、単なる物理的な摩耗ではなく**「炎症性・反応性」のメカニズム**を通じて、安静時や負荷時の痛みなど、さまざまなタイプの症状に寄与していると考えられています。

 結論

 滑膜炎はそれ自体が痛みを感じる神経を持つ組織であるとともに、他の部位のダメージを炎症という形に変換して脳に伝える「痛みの中継点」として機能することで、膝の痛みを引き起こしています。


滑膜炎以外に痛みを媒介する可能性のある要因は何ですか?

 滑膜炎(および関節液貯留)以外に膝の痛みを引き起こしたり、構造的変化と痛みの間を媒介したりする可能性がある要因として、主に以下のものが挙げられます。

骨髄病変 (Bone Marrow Lesions: BMLs)

 滑膜炎と並んで、最も一貫して痛みとの関連が認められている要因です。

• 直接的な発生源: 軟骨下骨(軟骨のすぐ下の骨)にある病変は、滑膜と同様に**「傷害受容能(痛みを感じる能力)」を持つ組織**であり、痛みの直接的な発生源(ドライバー)となり得ます。

• 痛みとの関連: 骨髄病変の存在や悪化は、痛みや身体機能の低下、症状の悪化と関連しているという中程度の証拠があります。

関節液貯留 (Effusion)

 滑膜炎としばしば併記されますが、関節内に液体が溜まることも強い痛みの要因です。

• 高い関連性: ある研究では、新たに発生した関節液貯留は、**新しい膝の痛みの発生と非常に強い関連(オッズ比 約9.8)**があることが示されています。

構造的な不安定性 (Structural Instability)

 軟骨の減少が痛みに寄与する際、滑膜炎以外のルートとして考えられているのが「構造的な不安定性」です。

• 間接的な影響: 軟骨が失われることで関節の構造的な安定性が損なわれ、それが結果として痛みを引き起こすという経路が示唆されています。

半月板の病変 (Meniscal Pathology)

 半月板の損傷や「逸脱(本来の位置からはみ出すこと)」も、痛みに関与します。

• 新規の痛みとの関連: 新たな半月板損傷は、新しい膝の痛みの発生と関連(オッズ比 約4.9)することが報告されています。ただし、痛みとの関連の強さについては研究によってばらつきがあります。

軟骨下骨の露出と骨棘 (Osteophytes)

• 軟骨下骨の露出: 軟骨が完全に磨り減って骨が露出した状態(Denuded subchondral bone)は、中程度から重度の痛み、あるいは頻繁な痛みと関連しているという報告があります。

• 骨棘: 骨の端にできる突起(骨棘)も、痛みとの関連が示唆されています。

四頭筋の筋力低下 (Quadriceps Weakness)

• 媒介経路: 四頭筋の筋力低下が痛みに繋がる経路も考えられています。この筋力低下による痛みが滑膜炎によって媒介される可能性が言及されていますが、筋力低下自体が痛みに関わる構造的・力学的変化の一環として扱われています。

まとめ:痛みの多面的なメカニズム

 膝の痛みは単一の原因で決まるのではなく、以下の2つの異なる経路が混在していると考えられています。

• 炎症性・反応性経路: 滑膜炎、関節液貯留、骨髄病変(これらは痛みを感じる神経が豊富です)。

• 機械的経路: 軟骨欠損、半月板損傷、構造的不安定性。

このように、**「痛みを感じる神経がある組織(滑膜や骨髄)の異常」と、「関節の動きを不安定にする物理的な異常」**の両方が、痛みを発生させたり媒介したりする役割を担っています。


骨髄病変(BMLs)が痛みを引き起こす具体的な理由は何ですか?

 骨髄病変(BMLs)が痛みを引き起こす具体的な理由と、その背景にある仕組みについて解説します。

 骨髄病変(BMLs)が痛みの原因となる主な理由は、以下の通りです。

 組織自体が「痛みを感じる能力」を持っているため

 最も直接的な理由は、骨髄病変が発生する軟骨下骨(軟骨のすぐ下の骨)が、痛みを感じる神経を備えた「傷害受容能(nociceptive potential)」を持つ組織であるという点です。

  軟骨には神経が通っていないため、摩耗しても直接痛みを感じることはありませんが、その下の骨(軟骨下骨)や骨髄に病変が生じると、そこが**直接的な「痛みの発生源(nociceptive driver)」**となります。

 痛みとの強固で一貫した関連性

 MRIを用いた研究において、骨髄病変は滑膜炎や関節液貯留と並び、膝の痛みと最も強く、かつ一貫して関連している要因であることが示されています。

• 統計的には、骨髄病変の存在は痛みや身体機能の低下、症状の悪化と中程度の関連性(Small-to-moderate effect sizes)があることが認められています。

• 多くのMRI所見の中で、骨髄病変は症状の有無を判断する上で比較的信頼できる指標とされています。

 症状の発生や悪化に先行・並行する性質

 骨髄病変の状態の変化は、痛みの発生や強度の変化と時間的に連動しています。

• 痛みの先行指標: 骨髄病変の発生や悪化は、その後数か月から数年のスパンで起こる痛みの発症や悪化に先行、あるいは並行して発生することが報告されています。

• 構造的な悪化との連鎖: 骨髄病変が拡大すると、長期的にはさらなる軟骨の減少を招くことが示されており、関節全体の構造的悪化を加速させる要因にもなります。

複合的なメカニズム(炎症性・機械的要因)

 骨髄病変は、単一の物理的なダメージとしてだけでなく、炎症や反応性のプロセスを介して痛みを引き起こすと考えられています。

 膝の痛みが起こる経路として「炎症性・反応性経路」が挙げられており、骨髄病変はこの経路における主要な候補 tissue(組織)とされています。

まとめ

 骨髄病変が痛みを引き起こすのは、**「痛みを感じる神経がある組織(軟骨下骨)に直接ダメージが生じているから」**であり、その変化が実際の痛みの発生や強弱と密接に連動しているためです。


関節の「構造的な不安定性」はどのように痛みに繋がりますか?

 関節の「構造的な不安定性」がどのように痛みに繋がるのか、その仕組みを解説します。

 関節の構造的な不安定性は、それ自体が直接痛みを発するというよりも、他の組織の反応を介した**「間接的な経路」**で痛みを引き起こすと考えられています。

軟骨減少による不安定化と「媒介」

 軟骨の減少そのものは痛みへの寄与が小さい(直接的な原因になりにくい)とされています。しかし、軟骨が失われることで関節の**「構造的な不安定性」**が生じ、それが痛みの要因となります。

• 滑膜反応の誘発: 構造的な不安定性が生じると、それに対する反応として**滑膜炎(synovial reaction)**が引き起こされます。

• 痛みの発生: 滑膜は「傷害受容能(痛みを感じる能力)」を持っているため、不安定性によって誘発された滑膜炎が、最終的に痛みとして認識されることになります。これを「媒介(Mediation)」と呼びます。

力学的な負荷と痛みの経路

 関節の構造的な変化や不安定性は、機械的なダメージの経路として分類されます。

• 機械的経路と炎症性経路: 膝の痛みには、滑膜炎などの「炎症性・反応性経路」と、軟骨欠損などの「機械的・軟骨欠損経路」の両方が寄与しています。構造的な不安定性は、特に関節に負荷がかかった際(loading)の痛みなど、特定のタイプの症状に影響を与える可能性があります。

• 四頭筋の筋力低下: 四頭筋の弱さは関節の安定性を損なう要因となりますが、この筋力低下が痛みに繋がるプロセスも、一部は滑膜炎によって媒介されていることが示唆されています。

多面的な要因の連鎖

 構造的な不安定性は、単独で存在するのではなく、他の異常と連鎖して痛みを増幅させます。

• 骨髄病変との関連: 構造的な不安定性や軟骨の減少は、その下にある骨(軟骨下骨)への負荷を高め、痛みとの関連が強い**骨髄病変(BMLs)**の悪化を招く一因ともなり得ます。

• 複合的な経路: 結局のところ、構造的な不安定性は「軟骨の消失 → 不安定性の増大 → 滑膜炎や骨髄への負荷 → 痛み」という、多面的で間接的な経路の一部として機能しています。

結論

 構造的な不安定性は、関節内の**「痛みを感じる神経がある組織(滑膜や骨髄)」に炎症や過度な負荷を与えること**を通じて、間接的に痛みを引き起こす主要なメカニズムの一つとなっています。


半月板の損傷はどの程度の確率で痛みに繋がりますか?

 半月板の損傷が痛みに繋がる具体的な「確率(パーセンテージ)」は明記されていませんが、痛みの発生リスク(オッズ比)関連性の強さに関する研究データが示されています。

 以下のポイントにまとめられます。

 新規損傷によるリスクの上昇

 特定の研究(48ヶ月間にわたるケースコントロール研究)では、**新たに発生した内側半月板の損傷(incident medial meniscus tear)**は、新しい膝の痛みの発生と密接に関連していることが示されています。

• この研究報告によると、新しい内側半月板損傷がある場合、痛みの発生リスクを示すオッズ比は約4.9です。これは、損傷がない場合に比べて、痛みが新たに発生する可能性が数倍高まることを示唆しています。

 他の要因と比較した関連の強さ

 半月板損傷と痛みの関連性は、他の組織の異常と比較すると**「弱い、あるいは一貫性がない」**と評価されています。

• 膝の痛みと最も強く、かつ一貫して関連しているのは「骨髄病変(BMLs)」や「滑膜炎・関節液貯留」です。

• 半月板の断裂や逸脱(本来の位置からはみ出すこと)についても、痛みとの関連を示す研究がある一方で、全体的な証拠は「混合的(mixed)」であり、影響の大きさ(効果量)は研究によってばらつきがあります。

「異常があっても痛くない」ケースの多さ(画像と症状の乖離)

 MRIで半月板損傷などの異常が見つかっても、臨床的な症状(痛み)を伴わないケースが非常に多いことが強調されています。

• MRIで定義される変形性膝関節症(半月板損傷を含む構造的異常)がベースラインで見つかっても、長期間のフォローアップにおいて、それが必ずしも将来の痛みの発生を予測するわけではありません。

• 集団レベルでの統計的な関連性が認められたとしても、その影響の大きさは、個々の患者にとって意味のある症状の差(臨床的重要性のしきい値)を下回ることが頻繁にあります。

時間的な経過

 新しい半月板損傷は、数か月から数年のスパンで、痛みの発生や悪化に先行したり、あるいは痛みの悪化と同時に起こったりすることが確認されています。

結論

 半月板損傷(特に新しい損傷)は痛みのリスクを数倍(オッズ比4.9程度)高める要因にはなりますが、「損傷があれば必ず痛む」というわけではなく、他の要因(滑膜炎や骨髄病変)に比べると痛みとの直接的な結びつきは不確実であると言えます。


安静時と負荷時で痛みの原因となる組織は異なりますか?

 安静時の痛みと負荷時の痛みでは、関与する組織やメカニズムの経路が異なる可能性が示唆されています。

 具体的には、以下の2つの異なる経路が、それぞれの症状の種類に寄与していると考えられています。

炎症性・反応性経路(主に安静時の痛みに関与)

 滑膜炎や骨髄病変といった**「炎症性・反応性」の病変**は、組織自体に痛みを感じる神経(傷害受容能)が備わっているため、直接的な痛みの発生源となります。

• 関与する組織: 滑膜(滑膜炎)、関節液(関節液貯留)、軟骨下骨(骨髄病変)。

• 特徴: これらの組織の異常が組み合わさることで、安静時や特定の活動とは無関係な痛みに繋がりやすいというパターンが示唆されています。

機械的・構造的経路(主に負荷時の痛みに関与)

 一方で、軟骨の欠損や関節の不安定性といった**「機械的」な要因**は、負荷がかかった際の痛みとより密接に関連しています。

• 関与する組織: 軟骨(欠損・減少)、半月板(損傷・逸脱)、および関節全体の構造的安定性。

• 特徴: 軟骨自体には神経がないため、これらが直接痛みを生むわけではありません。しかし、負荷がかかった際に関節が不安定になったり、その刺激が滑膜を刺激(滑膜反応)したりすることで、負荷時の痛みとして現れると考えられています。

なぜ組織によって痛みの出方が違うのか

 MRIで確認される異常(病変)の組み合わせパターンが、「安静時の痛み」か「負荷時の痛み」かという症状の現れ方に影響を与えると述べられています。

• 傷害受容組織の影響: 骨髄病変(BMLs)や滑膜炎は、痛みとの関連が最も一貫しており、これらが存在すると痛みが発生しやすくなります。

• 間接的な影響: 軟骨の減少などは、それ自体が痛みを出すのではなく、滑膜の反応や構造的不安定性を引き起こすという「間接的な経路」を通じて負荷時の痛みに寄与します。

結論

 膝の痛みは単一の組織から生じるのではなく、「炎症や反応(滑膜・骨髄)」による経路と**「機械的なダメージ(軟骨・構造的不安定性)」による経路**の2つが混在しており、これらが安静時や負荷時といった異なる状況での痛みを引き起こしていると考えられています。


参考文献

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ひまわり接骨院

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 〒213-0002 
神奈川県川崎市高津区二子1丁目7−17 リバーサイドマンション杉崎 102

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駐車場:近隣にコインパーキングあり。自転車・バイクは店舗前に駐輪場がございます。

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